解剖学における肢位

今回は肢位の違いについてお話していきます

体位を覚えることは、解剖学の基本です。
国家資格保持の医療従事者・セラピスト(整体・アロマセラピー・タイ古式マッサージなど)・運動指導者など、ヒトの身体に関わる仕事をする人たちの共通の専門用語となります。
一度覚えると、施術をする上でもとても便利です。

解剖学の世界では、手のひらが表(正面を向いた状態)で立った姿勢をゼロポジション・ゼロアングルと呼びます。
また、タイ古式マッサージにおいてセラピストは、90%以上の手技を座位で行います。
体位とは、体の位置や姿勢のことを指します。
日本語は、体位を示す語彙は豊富でその多くがトレーニングや施術で活用されています。

【種類】
立位(Standing)
座位(Seated position, Seated posture, Sit-down position)
臥位(Lying)
に大別することができ、用途や症状によって使い分けます。

〈立位〉
立位には、頭方が上部になる脚立位と頭方が下部になる倒立位があります。
1. 脚立位
立位には、健常人が通常行う両脚立位と体力測定などで用いられる片脚立位があります。
直立姿勢を維持するための筋平衡反射は、運動を行う際に重要な役割を持つ反射です。
(1)両脚立位
①基本的立位肢位
基本的立位肢位(自然肢位:fundamental standing position)とは、概ね自然立位とします。立位姿勢で顔面は正面を向いて、両上肢は体幹に添って下垂し、前腕の橈骨縁は前方を向き、下肢は平行して足趾が前方を向いた直立位です。
② 解剖学的立位肢位
解剖学的立位肢位(anatomical position、zero position、neutral zero position)とは、立位姿勢で顔面は正面を向いて、両上肢は体幹に添って下垂し手掌を前方にして、足は踵部を僅かに離し平行して足趾が前方を向いた直立位です。表示法では解剖学的肢位を0゜としています。
ただし、肩関節の水平屈曲・水平伸展:外転90度
肩関節の外旋・内旋:外転0度・肘関節90度屈曲位
前腕の回外・回内:手掌面が矢状面にある肢位
股関節外旋・内旋:股関節屈曲90度・膝関節屈曲90度
の肢位をそれぞれ基本肢位とします。(日本整形外科学会)

2.片膝立
日本、韓国などで使う座法。通常は後ろ足のつま先は立てないが、能の控えの姿勢や柔術の一部流派など日本武術では後ろ足のつま先を立てるものもあります。

【座位】
座位とは、床もしくは椅子に座った状態のことをいいます。
〈床に直接座る座法〉
日本には古来より椅子等の家具なしで床に直接座る際、様々な足の組み方の座法が多く存在します。そのため日本語は世界でも稀にみるほど座位の名称の種類が豊富です。
1. 正座位
元々は中国式であり、その例は漢の時代の墓の副葬品の俑にみられます。
日本では江戸幕府により小笠原流礼法を武家の礼法に採用され茶道などで広まったという説があり、また一方では、この座り方自体はもっと古くから庶民に浸透していたという説もあります。
江戸時代の日本、トルコ、イースター島のモアイ像などにみられます。
2. 跪座位
つま先を立てた正座。神道、弓道の控えの姿勢にみられます。
3. 長座位
長座位(long stay)とは、両足を伸展した状態で座る体位のことです。心臓や肺への血液還流が妨げられず、心臓や肺への負担が減少する体位です。ただし、上半身の重量が臀部に集中します。
4. 安座位
胡坐のことで、日本では安座といいました。
5. 楽座位
楽座とは、合蹠した座り方です。
雅楽を演奏する時の奏楽員の座法であったためこの名がついたと言われていています。
6. 安息座位
体育座り、三角座りともいい、小学校など日本の学校教育上の座り方。

【臥位】
臥位は、仰臥位(supine position)、伏臥位(Prone position、Abdominal position)・横臥位(Side lying, Lateral position,Lateral recumbent position)に大別することが可能です。
〈仰臥位〉
仰臥位または背臥位(dorsal position)とは、主にヒトの解剖学やその応用である介護・看護学、スポーツ医学やその他分野(人間工学など)における体位です。身体の長軸を重力ベクトルに対して水平に静止させた水平位(horizontal position)の一種であり、背部を地につけ臥床させた、いわゆる仰向けに寝た姿勢のことです。
〈伏臥位〉
伏臥位は、腹を床に着けて寝ている状態で、腹臥位とも表記されます。一般的には俯せと呼ばれ、会陰位(Ventral decubitus,Perineal position)とも呼ばれることがあります。伏臥位では、胸腹部や乳房が圧迫され、呼吸運動や安楽が妨げられたり、また短時間で尖足(足関節が底屈、拘縮して背屈できなくなった状態)が発生しやすくなったりするため、床面と身体との間にクッションや枕を入れ調整することもあります。
歯科医師らは伏臥位に対して、顎関節症(顎関節への負担)や、歯並びなどの変化の要因の一つという見解を示しています。
〈横臥位〉
横臥位は、身体の一方の側面を床に着けて寝ている体位で、側臥位または半腹臥位(Semi-prone position)と呼ばれます。横を向いて寝ている状態。腕を下にして横になった状態。右を向いて寝ている状態を右側臥位、左を向いて寝ている状態を左側臥位といいます。

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パーソナルトレーナーの冨江です。 トレーニングに関する記事や栄養に関する記事などみなさんの健康やトレーニングに+1になる情報を発信していきます!